
「検討が必要となる背景」
直方市には、市立小学校11校、市立中学校4校が設置されています。
2023年5月1日時点の児童生徒数は、4,507人です。(小学校2,990人・中学校1,517人)
1993年5月1日時点の児童生徒数は、7,214人でした。(小学校4,664人・中学校2,550人)
この30年の間、児童生徒の数は大きく変化していますが、市立小中学校の設置数は変わっていません。
また現在、学校により児童生徒の数に差が生じていること等により、今後の学校教育や学校運営に支障をきたす事態が予測される状況となっています。
文部科学省は、「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引~少子化に対応した活力ある学校づくりに向けて~(平成27年1月27日文部科学省)」において、学校規模適正化が課題となる背景として、次のように記載しています。
【児童生徒が集団の中で、多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて一人一人の資質や能力を伸ばしていくという学校の特質を踏まえ、小・中学校では一定の集団規模が確保されていることが望ましいと考えられます。】
日本は現在、人口減少社会への道を緩やかに歩み出したところです。今後は加速度的な人口減少と世界に類をみない高齢化という事態に直面していきます。
地方教育行政を取り巻く社会状況は、急激にかつ劇的に変化しています。
直方市においても、人口、児童生徒数の減少が見込まれます。
直方市のこどもを取り巻く状況も大きな変化が予測されます。
「これまでと同じ」では、解決が難しい課題が発生することが考えられます。
「前提となる考え方」
直方市における学校規模適正化の検討は、二段階を踏むことを想定しています。
第一段階として、「直方市の目指す学校教育」「その目指す学校教育を実現するための学校規模の検討」を行い、その内容を基本指針として設定します。
第二段階として、基本指針を踏まえて、「直方市の適正校数」「適正な学校の配置」を検討します。
直方市における学校規模適正化の検討にあたり、前提となる考え方は次のとおりです。
・直方市の「学校規模適正化」とは、直方市にとってちょうど良い学校の規模や学校の配置について検討し、児童生徒の教育条件を改善すること。
・「こどものために」学校規模適正化に取り組むこと。
・学校規模適正化≠学校統廃合であること、前提条件は一切ないこと。
「学校規模について」
学校規模(学級数)に関する法規を見ると、学校教育法施行規則第41条において「小学校の学級数は、十二学級以上十八学級以下を標準とする。」と規定されています。また、中学校についても同規則第79条において小学校の規定を準用するとされています。しかし同時に、「ただし、地域の実態その他により特別の事情のあるときは、この限りでない。」とも規定されており、小・中学校の学級数は、各市町村において、地域の実態や実情等を考慮した上で検討することが必要となります。
「基本的な考え方」
直方市における学校規模適正化の検討に関する基本的な考え方は、次のとおりです。
【教育的な観点】
義務教育段階の学校は、児童生徒の能力を伸ばしつつ、社会的自立の基礎、国家・社会の形成者としての基本的資質を養うことを目的としています。このため、学校では、単に教科等の知識や技能を習得させるだけでなく、児童生徒が集団の中で多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて思考力や表現力、判断力、問題解決能力などを育み、社会性や規範意識を身に着けることが重要となります。そうした教育を十全に行うためには、一定の規模の児童生徒集団が確保されていることや、経験年数、専門性、男女比等についてバランスのとれた教職員集団が配置されていることが望ましいものと考えられます。このようなことから、一定の学校規模を確保することが重要となります。
【地域コミュニティの核としての性格の配慮】
小・中学校は児童生徒の教育のための施設であるだけでなく、各地域のコミュニティの核としての性格を有することが多く、防災、保育、地域の交流の場等、様々な機能を併せ持っています。また、学校教育は地域の未来の担い手であるこどもたちを育む営みでもあり、まちづくりの在り方と密接不可分であるという性格も持っています。
学校規模の適正化の検討は、様々な要素が絡む困難な課題ですが、飽くまでも児童生徒の教育条件の改善の観点を中心に据え、学校教育の目的や目標をより良く実現するために行うべきものです。