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受け継がれる自然の恵み

更新日 2017年04月26日

自分が本当に好きなものへの思いを大事に抱き続けたい。
人との縁が今日の私につながっている。

芽生えた林業への志

下から見上げた森林の画像もともと幼い頃から草花遊びをしたり川で遊んだりすることが好きでした。進路を決めたきっかけは、高2の夏に参加した遠賀川水辺館のYNHC(青少年博物学会)での活動。遠賀川の歴史を聞いたり魚や虫を取ったりと、目の前の川の魅力を語り伝え体験させてくれました。驚きの連続でワクワクしました。そして、自然の中にいると私は心地よく人と関われる、自然の中で生きていけたらと思いました。

しかし、実は身の回りの自然環境はバランスを崩していることを知り、本物の自然の姿はどんなものだろうと思い自然環境や生態系について学べる大学に進学しました。さらに、自然環境を社会で実際に保全していくにはどうしたらいいか知りたいと思い大学院に進みました。そこで出会ったのが徳島県の林業家の橋本光治さんです。橋本さんは100ヘクタールくらいの山を持っていて、40年程前から自らの山で作業道作設・伐採・搬出を一貫して営む「自伐型林業」を実践しています。スギ人工林による経済性に加えて、広葉樹でも樹種ごとの性質を活かして山を守り育てるような、全体性を考えた経営をしていらっしゃいます。作業道は壊れにくい地形を選んでトラックが通れる最小限の規模にとどめ、山に負担をかけない林業を心がけていらっしゃいます。そして橋本さんのもとには林業を志して学びに来る若者がたくさんいました。彼らが山の仕事を話す楽しそうな姿を見ているうちに、私も林業をやってみたいと思うようになりました。

山と私

木を切る松尾さん山の中では光や風の様子も草花や虫たちも毎日違う姿を見せてくれます。私は少しずつ移り変わる自然の中に身を置くということが面白くて仕方ありません。山の中で働くというのは肉体労働ですが、安全で楽な伐倒・搬出の方法を考えたり、将来の山の姿を想像したりなど、結構頭も使います。また、仕事させていただく山の仕上がりはひとつのアート作品のようだなと思うようになりました。その人自身が山に表現されるように思えるからです。私は美しい山というのは土壌を育て水を貯え生き物たちの生活する場を作るといった機能も併せ持つと考えています。

私は自分が手がけた山や木の成長を最後まで見届けることはできません。しかし私たちは前の世代が植え育ててくれた山の中で働いています。それはきっと次の世代でも続いていくのでしょう。仕事していると、自分はただ過去から引き継いだものを未来につないでいくというのが役割なのかなと思います。遠賀川水辺館の人たちはよく「次世代の子どもたちのため」と口にしていましたが、私もそう思うともうひと踏ん張りできそうな気がします。

まだまだ伸び盛り

若芽のそばに立つ松尾さん今の職場は、上司たちが風通しのよい関係性を作ってくださっており、未熟な私の意見でも耳を傾けてくれます。技術は見て盗めと言いながらも、質問すれば丁寧に教えてくれます。職場に恵まれたと感謝しています。

しかし、技術が伸びないとやはりつらいです。何度も同じ失敗を繰り返す自分が情けなくなります。間伐のときに木の倒し方を誤ると、残して育てる傷を入れたり、作業の手間が増えたりします。また、うっかりしていると命に関わる事故につながることもあります。チェーンソーを使った作業中は足を守る防護服を着けていますが、それに傷を入れてしまったときは、自分の不注意をとても恥ずかしく思いました。

今はとにかく先輩たちを見ながら修行中です。先輩たちは、作業中は言葉でなく目で会話をしています。私が気づかない間に、指示が無くてもお互いあうんの呼吸でどんどん作業が進んでいきます。私が今一番身につけたいのは、そんなチームワークです。


縁がつながって

私は学生のころ将来への具体的な目標が持てず、自分が何をしたいのか全く見えない時期がありました。そんなと
き、いろいろな仕事で活躍される地域の人たちとの出会いをきっかけに自分の世界が広がり、林業という自分の好きな道を見つけることができました。誰でも本当に好きなもの、やってみたいことが心のどこかにあると思います。その思いは見失うことなく大切にしてほしいです。そして、その思いを形にするためにも、人との縁を大切にしてもらえたらと思います。

直方への思い

伐採した木のそばに座る松尾さん大学進学で直方を離れた後も、故郷のことをもっと知りたくて、筑豊炭田の歴史小説を読んでみました。厳しい環境の中でも、家族のため力一杯に働き、明るく辛抱強く生きてきた人たちがたくさんいたことを知りました。大変なことがあると彼らの姿を思い出します。そして、ふとした瞬間に直方でお世話になった方々の眼差しを思い出します。今日の私が在るのは、地域の子どもとして大事に育ててくださった方々がいたからだと思います。私はこれからは縁あって移り住んだ滋賀の地で生きていくつもりですが、お世話になった方々のような深い心で後に続く人たちの力になれたらいいなと思います。

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