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背高泡立草のある町

更新日 2019年02月14日

故郷

NOGATA My home town 1983-1998より蒸気機関車がまだ鉄道の主流だった1960年、僕は直方市で生まれた。当時、直方駅の構内には大きな機関庫があり、生家はそのすぐ裏手だったのでよく遊びに出かけていた。機関車の煙で、家や足の裏はいつも真っ黒だった。子どもの足では行くところも限られていたが、商店街はとても賑やかで、多賀さんのお祭りもたくさんの夜店が並んで、町全体に活気があった。

父は趣味で写真を撮っていて、コンテストにも度々応募していた。僕が物心ついた時にはもうやめていたが、幼い頃からカメラがいつも身近にあり、自然とカメラに興味を持つようになった。高校時代は写真部に入り、父はそのことをとても喜んでカメラと引き伸ばし機のセットを買ってくれた。自分の部屋を暗室にして、周辺の風景写真を撮っていた。

父の転勤先、千葉の製鉄所で2年働いたが、写真家になる夢を捨てきれず、退職して東京写真専門学校に進んだ。

卒業後は、師と仰ぐ写真家の森山大道さんのギャラリー「CAMP」に参加した。そこで、初めての個展「背高泡立草のある町」を開催。このタイトルは炭鉱が無くなった後の町「直方」をイメージして名付けたもので、大きな写真を壁いっぱいに並べた。これは、後に開いた自主ギャラリー「街道」での32回続けた連続展「背高あわだち草」にも繋がっていった。

アナログの世界

写真は一連の作業を一人でできるところが僕にとって最大の魅力。僕の愛機はニコンF3。今はデジタルカメラが主流となっているが、F3はフィルム式だ。

デジタルは撮った写真をすぐ見ることができるという魅力があるが、僕は写真にそれを求めていない。何十年も前に撮影した写真を見直すことが面白いのであり、大切なのだと思う。フィルムには、10年経ったときに当時は気づかなかったものを探し出し拾い出して、遅れて発見できる楽しみがある。

暗室作業で色々コントロールでき、そして二度と同じものを作れない。そんな工芸的な側面もフィルムならではの面白いところだと思う。

絵になる地方

作品を作る上で大切にしているのは自分が好きなものを撮るということ。知らない場所を旅行してまわり、初めて見るものはどれも新鮮だし、写真を撮る動機にもなる。旅先は地図や路線図を見て決めることにしている。例えば終着駅であったり、海辺であったり。宿泊も都市部を外してみると面白い。大きな都市はどこも同じような風景だけど、地方に行けば面白い光景に出会える。

直方は空襲を受けていないから、城下町や炭鉱の遺跡などの古い町並みがそのまま残っている。この町は写真を撮る人たちにはすごく魅力的だと思う。福智山もあるし遠賀川もあるし、古くからの飲み屋も残っている。地元の人にとっては見慣れた景色も、初めて見る人にとっては面白い。特にレトロ地区の古い町並みは、これからもずっと残しておいてほしい。

敬意と望郷

直方谷尾美術館にて1983年から98年までの直方の景色をまとめた写真集「直方」の他にも、デビュー作「背高あわだち草」でも直方の写真を掲載している。直方以外の土地で撮影していても、常に直方へのオマージュ(敬意)やノスタルジー(望郷)がある。

直方と同じ匂いがする土地に自然と惹かれる。例えば、今でも炭鉱が残っている北海道。外国であれば、直方と同じ炭鉱の町であるベルギー・ブリュッセルのシャルルロワ地方やドイツのエッセン。そこでは炭鉱の施設を、美術館やアーティストのアトリエなどとして使っている。現地の駅前にはどこにも炭鉱夫の像が建っており、皆、炭鉱の町であったことを誇りに思っている。直方も炭鉱で栄えた歴史があるので、やはりその点が一番強いところだと思う。北九州の八幡製鐵所と筑豊炭田をセットにすれば、興味を持ってくれる人は多いと思う。

僕が直方の写真を撮るのはあくまで自分の作品のためなので、直方について発信しようとは特に意識してはいない。しかし、僕の写真を見て直方に興味を持ってくれる人はきっといると思う。「直方は写真になる町だな。」「じゃあ行ってみよう。」と思ってもらえるとうれしい。直方は写真を撮るにはとても面白い町だから。

このページの作成担当・お問い合わせ先

企画経営課 ふるさと情報係

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