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叔父の本音

更新日 2019年02月14日

慶應への進学へと気持ちは大きく傾いた。

しかし、当時、父の事業が傾いており、経済的に苦しかった。学費の安い国立の九大に進むか、夢を追って上京して慶應に進むか、人生の分岐点に立っていた。

既に社会人として何度も東京に行ったことのある姉。姉の意見を聞いている両親。

皆、人生の可能性を広げる観点から慶應への進学を強く勧めてくれた。

親戚中が「東京へ行くべし」と盛り上がる中、一人だけ異論を唱えた人がいた。尊敬していた叔父だ。彼は高校卒業後、地元の自動車販売会社の営業マンとなり、人口6万の直方の小さな商圏で、九州全域でもTOP10に入る販売実績を上げていた人物だ。

その叔父だけが、頑なに言い続けた。

「福岡に残れ。学費の安い国立大学へ進め。両親に負担をかけるな」

その言葉で、更に悩むことになった。

私の迷いを知った家族や姉の、東京行きを推す声は日増しに強くなっていった。同時に、尊敬する叔父の言葉が天秤の反対側で重みを増していた。

九大の入学手続き前夜、悩みぬいた末に、九大へ進むことを決めた。


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手続きに行くため家を出る朝、母は「後悔しないように」とだけ言っていた。仕事中の姉は何度も母に電話を掛けて来て「行くのを止めるように」と言ったらしい。

九大の構内に入り、会場で必要書類を出し終え、入学金を払う最終段階になった。

現金を差し出したところ、郵便為替での支払いを求められた。現金では受け付けられないとのこと。

急いで大学を出て六本松の郵便局へ向かった。あと150メートルほどで郵便局に着くというその時、朝から重く垂れ込めていた雲の切れ目から、一筋の光がスーッと私の頭上に射し込んできた。その瞬間、

「東京に行こう!」

自分の口から言葉が出ていた。自分に何が起きたのか分からない。

しかし、何の迷いもなくなっていた。すでに福岡の大学へ進学していた高校の同級生が付き添いに来ていたが、私の急な変化に目を丸くしていた。今思い返しても、不思議な体験だった。

当時は携帯電話が存在していないので、その決断を公衆電話から叔父に伝えることにした。

普段は営業で不在のことが多いのだが、その時は運良く社内にいた。昨晩からのことを伝えると叔父は言った。

「そうか、それは良かった。本当は俺も、卓哉には東京で挑戦して欲しかった」

「え?」

「俺が反対したのは、周りが皆、『東京、東京』と口を揃えていたからだ。俺が反対すれば、お前は必ず考えると思ったからだ。いいか、人生は自分で選択するということが大事だ。それが自分の人生を作るんだ。あのままだと、お前は何も考えずに東京に行っただろうがそれではだめなんだ。自分で選択することの大切さをお前に知ってほしかった。家計が苦しいのは知っている。授業料のことは心配するな。俺が責任を持って出してやる。東京で思い切りやってこい。」

私は、人目もはばからず、泣いていた。この時の言葉は、その後の私の人生を支えてくれた。


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