○直方市中小企業振興条例

平成24年10月9日

条例第27号

直方市は、昭和6年の市制施行から今日までの間、石炭産業の隆盛とエネルギー革命に伴う衰退、その後の産業構造の変化という時代の激動と直面しながらも、筑豊地域の中心都市として発展してまいりました。

歴史と伝統に支えられた文化や、遠賀川、福智山、竜王峡に代表される豊かな自然など誇るべき素晴らしい資源を有するこの地域では、産業が担ってきた重要な役割があります。それは、人々に働く場所を提供し、地域経済を守っていることです。

本市では、事業所のほとんどを中小企業が占めており、中小企業が経済の基盤をなしています。

中小企業の振興により雇用が創出され、働く人の収入が増え、消費が活発化します。さらに、市の税収が増加して福祉や教育などの市民サービスが向上し、まちづくりが発展するなど好循環が生み出されます。このようなことから、中小企業の振興は、単に企業だけにとどまるものではなく、本市の産業、経済と市民生活全体に関わる課題といえます。

今後、経済界では、国際化の加速による競争激化、少子高齢化の進行や人口減少による市場の縮小、慢性的な人材不足など、困難な状況に直面することが予測されますが、そのような状況の中での地域経済の活路は、時代の変化に対応するスピードや多種多様な技術、創造性に溢れた発想など中小企業の強みの中にこそ見出すことができます。

中小企業が成長発展していくためには、中小企業者自らがまずその重要性を再認識し、不断の自己研鑽を行わなければなりません。そして、中小企業の振興が本市の発展に欠かせないものであるという認識を、企業はもちろんのこと市民、行政などの社会の構成員が共有することが何より大切です。

そこで、中小企業を振興するうえでの企業、行政及び市民の役割や関係を明らかにし、中小企業をより元気にすることで、本市をより豊かで住みやすいまちとするため、ここにこの条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、本市の中小企業の振興について、市の責務、中小企業者の努めるべき事項などを明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定めることによって、地域経済の活性化を図り、もって市民生活の向上及び地域社会の発展に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号に掲げるものをいう。

(2) 大企業者 中小企業者以外の事業者をいう。

(3) 事業者 中小企業者、大企業者など事業を営むものをいう。

(基本理念)

第3条 中小企業の振興は、次に掲げる基本理念に基づいて推進されなければならない。

(1) 中小企業者の自主的な努力と創意工夫を尊重すること。

(2) 本市の地域特性に適した総合的な振興施策を講ずること。

(3) 経済活動における国際化の進展、その他の経済的、社会的環境の変化に的確に対応すること。

(施策の基本方針)

第4条 前条の基本理念に基づき、次に掲げる事項を基本方針として、中小企業の振興に関する施策(以下「中小企業振興施策」という。)を策定し、実施するものとする。

(1) 中小企業者の経営基盤の強化を図ること。

(2) 中小企業者の人材育成・確保及び雇用の創出を図ること。

(3) 地域産業の集積維持を図ること。

(4) 地域資源を活かした事業の推進を図ること。

(5) 経済の国際化などの変化に即応し、海外を視野に入れた事業の推進を図ること。

(6) 情報の発信、収集及び共有機能の強化を図ること。

(市の責務)

第5条 市は、中小企業振興施策を実施するときは、中小企業者の実態を的確に把握するとともに、中小企業者の意見を適切に反映するよう努めるものとする。

2 市は、前項に定める施策を実施するために必要な財政上の措置を講ずるよう努め、予算の範囲内において中小企業者に対する適切な支援を行うものとする。

3 市は、工事の発注、物品及び役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、中小企業者の受注の機会の増大に努めるものとする。

4 市は、中小企業者相互及び中小企業者と大企業者との連携・協力の促進に努めるものとする。

5 市は、中小企業の振興に関する市民の理解を深めるとともに、市民の協力を促すため、広報、啓発等の必要な措置を講ずるものとする。

(中小企業者の役割と努力)

第6条 中小企業者は、自主的努力により経営基盤の改善・強化、従業員の福利向上に努めるとともに、地域環境との調和及び消費生活の安定、安全確保に十分に配慮し、地域経済の発展に貢献するものとする。

2 中小企業者は、市が実施する中小企業振興施策に協力するよう努めるものとする。

3 中小企業者は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、地域づくりに取り組むことにより、地域の活性化及び市の持続的発展に資するよう努めるものとする。

(大企業者の役割)

第7条 大企業者は、事業活動を行うに当たっては、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚するとともに、中小企業者との連携・協力に努めるものとする。

2 大企業者は、中小企業の振興が本市経済の発展において果たす役割の重要性を理解し、市が実施する中小企業振興施策に協力するよう努めるものとする。

(市民の理解と協力)

第8条 市民は、中小企業が地域経済の振興、発展及び市民生活の向上並びに市の持続的発展に寄与する重要な役割を理解し、中小企業の育成、発展に協力するよう努めるものとする。

(審議会の設置)

第9条 この条例の目的を達成するため、併せて中小企業振興施策に広く意見を反映させるため、市長の諮問機関として直方市中小企業振興審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定める。

(実施状況の公表)

第10条 市長は、中小企業振興施策の実施状況を公表するものとする。

(委任)

第11条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

直方市中小企業振興条例

平成24年10月9日 条例第27号

(平成24年10月9日施行)